サイトを利用して代金を支払う義務があるかどうかは、そもそも業者との間で契約が成立しているかどうかが問題となります。
契約は、「申込」と「承諾」という意思表示が合致することにより初めて成立しますので、「申込」がない以上は、契約は成立しません。
契約が成立していない以上、業者の請求は認められませんので利用代金を支払う必要はありません。
またこういうケースの場合「○○日以内に支払がないと法的手続に着手します」というような文言が書かれていることがありますが、そのようなことが書かれていても慌てずに、身に覚えのない業者からの請求であれば無視していて構いません。
次に、携帯電話やインターネット上で画像をクリックしたところ、サイト運営者から承諾のメール等が届き、後日、サイト運営者から契約が成立したので利用代金を支払ってほしいとの請求がある場合を考えてみましょう。
この場合も基本的には、契約が成立していなければ支払義務は発生しません。クリックしたボタンや画像が申込や承諾を示すボタンではない場合、そもそも契約をする意思が利用者にない以上、契約は成立していないということになります。
仮に、契約が成立したといえるとしても、契約内容の重要な要素に錯誤(事実とそれに対する人の認識が一致していないこと)があるとして、契約の無効を主張することができます。
身に覚えのある請求であっても、必ずしも、利用者に支払義務があるとはいえませんので、不安な方は専門家や消費生活センターに相談することをお勧めします。
2015.10.31更新
覚えのないサイトから利用代金を請求された、どうしたらいい?
投稿者:
2015.10.27更新
「借りたお金、相手も忘れているし、返さなくても...?」
お金の貸し借りは、法律上は、金銭消費貸借契約と呼ばれています。金銭消費貸借では弁済期(返済期限)を定めるのが一般的ですが、弁済期を定めなかったとしても契約としては有効になります。
タイトルにある、お金を返さなくてもというのは、おそらく消滅時効のことを言っているのだと思います。消滅時効は、民法に規定されていて、「権利を行使することができる時から進行する。」とされています。
設問では、弁済期を定めたかどうか定かではありませんので、期限を定めた場合とそうでない場合とに分けて考えたいと思います。
まず、弁済期を定めた場合ですが、弁済期がくるまでは貸主は借主に対して、貸したお金の返済を求めることはできず、弁済期が到来してから初めて請求することができます。
この弁済期が到来した時こそ、権利を行使することができる時になりますので、これから10年が経過すれば、貸主の借主に対する請求権は消滅することになり、その結果、借主は貸主に対して、借りたお金を返す義務が法律上ないことになります。
また、設問では当事者がどのような人なのかも明らかではありませんので、知人間等の一般人の貸し借りを想定してお話していますが、仮に貸主が消費者金融等の貸金業者である場合には、消滅時効は10年ではなく、5年ですので、最終取引日から5年が経過すれば、借主は法律上お金を返さなくてもよいことになります。
次に、弁済期を定めなかった場合は、「権利を行使することができる時」が来ないというわけではなく、金銭消費貸借契約を締結したときから相当期間が経過したときには、「権利を行使することができる」とされており、この相当期間が経過したときから10年若しくは5年が経過したときには、借主は法律上お金を返さなくてもよいことになります。
投稿者:
2015.06.03更新
1 「財布を盗まれた!どうしたら?」
財布を盗まれた場合、まず、警察に届け出ることが必要だと思われます。
警察に届け出て、盗んだ犯人が見つかるかどうかわかりませんが、届け出ないことには、犯人は見つからないと思われます。
次に、財布の中に入っている各種クレジットカード等の使用を停止する手続きをとることが必要です。財布を盗まれただけでなく、クレジットカードを悪用されることによる二次被害・三次被害を防止することが必要です。
財布を盗んだ犯人は、窃盗罪(刑法235条)で処罰されますが、これはあくまで刑事事件です。
財布の中に大金が入っていて、仕方がないで済まない場合、刑事事件とは別に民事事件として、盗んだ犯人に対して、お金を返せと請求しなければなりません。
私が担当した刑事事件ですが、落とした財布を拾い、中にお金が入っていなかったのでお金は盗っていないのですが、そのまま財布を捨てたということで、遺失物横領(刑法254条)で逮捕・勾留された人がいました。
起訴猶予にしてもらうため、落とした持ち主に対して、示談金を支払い、無事に起訴猶予で社会に復帰できましたが、20日間近く身柄を拘束されました。
盗んだわけでもないのに、こんなことになるのかと思われる人もいるかもしれませんが、財布を盗まれるだけでなく、財布を拾った場合にも注意が必要です。
事例紹介を掲載していきます。
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